読書

直木賞受賞作。悲しき愛情×ミステリー『容疑者Xの献身』/東野圭吾【レビュー】

 

今回は、東野圭吾「容疑者Xの献身」作品レビューをしていきます。

ドラマが人気を博したガリレオシリーズ初の長編で、映画化された作品です。

待望の電子書籍化も決定している小説となっています。

なるべくネタバレなしで解説していきますので、今まで気になってたけど読めてなかった方など、参考にしてください!

 

あらすじ

天才数学者でありながら不遇な日日を送っていた高校教師の石神は、一人娘と暮らす隣人の靖子に秘かな想いを寄せていた。彼女たちが前夫を殺害したことを知った彼は、ふたりを救うため完全犯罪を企てる。だが皮肉にも、石神のかつての親友である物理学者の湯川学が、その謎に挑むことになる。ガリレオシリーズ初の長篇、直木賞受賞作。

(文庫版裏表紙より引用)

 

見どころ紹介

石神はどのように「完全犯罪」を遂行するのか

物語は、高校教師・石神の通勤風景から始まります。

いつものように河原を歩き、途中で昼食の弁当を購入し、学校へと向かうのが石神の習慣となっています。

弁当屋「べんてん亭」の店員・花岡靖子は石神の隣人で、彼が密かに好意を寄せている相手。

娘の美里と平穏に暮らしていた靖子のもとに元夫の冨樫が現れたことで、事件が起こってしまうのです。

そして靖子たちが罪を犯したと知った石神は、二人を救うための完全犯罪を企てます。

石神は、どのようにして花岡親子を守ろうとしているのか?

湯川と同じ目線で推理することもできるので、謎解きに挑戦してみるのも面白いと思います。

 

旧友・石神と湯川の友情

これまでのガリレオシリーズでは、湯川と事件関係者との間には何の縁もなかったため、湯川の推理も淡々とした印象が強く残っています。

しかし、今回捜査線上に浮上する石神は、湯川の大学時代の友人です。

石神は数学科・湯川は物理科と専攻は違いますが、彼は湯川が「天才」と称し、一目置くほどの頭脳の持ち主。

学生時代もそれなりに交流があり、話が弾んでいる様子が描かれています。

唯一とも言える大学時代の友人が、殺人事件に関わってるかもしれない。

旧友に疑いの目を向け始めたとき、そして真相に気がついたとき、湯川は深く悩み、苦悶することになります。

このまま事件を解決することが、果たして誰の幸せになるのだろうか……?

初めて知り合いが事件関係者となってしまった、湯川の葛藤に注目です。

 

読後、タイトルの重みを噛み締める

雑誌にこの作品が連載されていたとき、タイトルは「容疑者X」となっていましたが、単行本として出版される際に改題、献身という言葉が付け加えられました。

このタイトル以外考えられないくらい、物語を端的に表したいい題になっていると思います。

全てが明らかになり物語がクライマックスを迎えたとき、大きな衝撃とともに「献身とはこういうことか」と腑に落ちる展開となっています。

読後には「献身」の意味を思い、じっくりと噛み締めたくなること間違いなしです。

 



まとめ

今回は、映画化もされた「容疑者Xの献身」の作品レビューをしていきました。

ミステリーとしての完成度も高く、人間ドラマとしての愛情が深く描かれた作品だと感じています。

本格的なミステリーを楽しみたい方、予想を裏切られるような展開が好きな方におすすめの小説です。